研究会立ち上げのご案内
~ タテからタテヨコへ DXを武器に ~

1.提案背景と目的
近年、物流業界は深刻な労働力不足に直面しており、運搬業務に加え、倉庫も単なる保管機能にとどまらず、仕分け・加工・配送などの多機能化への対応が求められています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入も加速し、より効率的かつ柔軟な業務運営・業務改革が急務となっています。
さらに、物流機能に適さなくなった築古倉庫については、リノベーションや建て替えによる再活用も求められています。こうした背景のもと、物流現場では業務の多様化・高度化・複雑化が進み、従来の枠組みでは対応しきれない新たな課題が顕在化しています。
このような状況を踏まえ、私たちは「次世代物流ビジネス(物流不動産ビジネス)」を接点に、物流と不動産という二大社会インフラを軸とし、業界の垣根を越えた“共創ネットワーク”のプラットフォームを構築することを目指します。
次世代物流ビジネスは、物流業と不動産(倉庫マッチング)を基軸に、建設・金融・ITなど複数の業界にまたがる知見とスキルを結集した、新たな産業連携モデルです。多様な分野が連携し、それぞれの強みを活かすことで、物流の課題解決とともに、新たな価値や創発的な戦略を共に生み出す環境を構築します。
2.共創ネットワークとは
本研究会が目指す「共創ネットワーク」は、次の3つの要素を備えた未来志向の取り組みです:
①連携:情報やリソースを共有し、相互に補完し合う協働関係を築くこと
②多様性の活用:異業種・異分野の違いを価値として捉え、強みに変えていくこと
③分散型:行政の支援を受けつつも、地域や企業が自律的に機能し、柔軟に連携するネットワークの構築
本研究会は、こうした構想を具体化するための知見共有と対話の場として機能し、新たな戦略が自発的に生まれる「創発的なプラットフォーム」として、社会に新たな価値をもたらすイノベーションの加速を目指します。
3.立ち上げの意義
研究会の設立により、以下の効果が期待されます:
①多角的な視点の融合 民間企業・団体、政策立案者、行政関係者、有識者などが一堂に会し、現場と政策の双方に即した議論と提言を生み出します。
②物流業の生産性向上 物流不動産の有効活用や、DXによる業務改善の先進事例を共有・検証し、業界全体の底上げを図ります。
③持続的な連携と実践 定期的な議論、パイロットプロジェクトの実施を通じて、現場で活かせる継続的なネットワークを築きます。
4.主要ステークホルダー
本提案の実現にあたり、以下の関係者の参画・連携が不可欠です:
①物流関連企業、倉庫事業者、不動産・建設・商流関連企業
②ITソリューション企業、金融・行政関係者、大学研究者、コンサルタントなど
③業界団体(物流不動産協同組合、日本物流不動産評価機構(JALPA)など)
5. 実施ステップ
①研究会開催 3ヶ月一回(50名)
②年一回シンポジューム開催
③ 国、地方自治体、公共団体との連携
④ 会員相互のビジネス連携
6.1 目的の明確化と課題整理
①物流不動産が物流業の生産性向上(立地最適化・在庫管理・運用改善)にどう貢献するかを定量・定性的に明らかにする
②現場や政策の具体課題を整理し、共通認識を形成
- 関係者の特定とネットワーク構築
①各分野のキーパーソンの抽出と信頼構築
②フォーラムや意見交換会を通じて連携基盤を形成
- 議題・アジェンダの策定
①次世代物流ビジネスと物流不動産の最新動向、国内外の成功事例
②政策支援・助成金・規制緩和、DX活用、スマートロジスティクスの推進
③大学・外部専門家の招待による多面的な議論
6.4 運営体制と資金調達
①運営委員会設置、役割分担の明確化
②助成金申請、民間協賛、会費制度による資金確保
6.5 広報・情報共有と成果活用
①SNSや業界紙による活動周知
②会合後の議事記録、提言の共有
③各回の成果・課題を次回に活かすフィードバック体制の構築
6.6 パイロットプロジェクトの実施
①モデルケースにおける実証実験
②成果を基に政策提言や業界全体への波及を目指す
まとめと今後の展開
本提案は、次世代の物流と不動産が融合する新たなビジネスモデルとしての「次世代物流ビジネス」を軸に、関連する業界の枠を超えた連携と、創発的な価値創造を実現するための第一歩です。
本研究会は、物流・不動産・建設・金融など異業種の知見を横断的に結集し、従来のタテ割り構造を超えた「タテからタテヨコへ」の未来型ネットワークの形成を目指します。物流不動産が持つ「空間」「物流」「情報」「金融」などの複合的な機能を活かし、共創と協働によって新たな産業構造と価値を生み出していきます。
今後は、具体的なメンバーの選定、テーマ設定、パイロットプロジェクトの実施など、実践的な取り組みを通じてさらなる成果の創出を目指します。そして、多様な視点と知見を融合させることで、持続可能な物流インフラの構築と、地域・社会全体の発展に貢献してまいります。
本提案の趣旨と目的をご理解いただき、今後とも力強いご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
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物流不動産協同組合 理事長
日本物流不動産評価機構 理事長
イーソーコグループ 会長 大谷巌一